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廿TT

譬如水怙牛過窓櫺 頭角四蹄都過了 因甚麼尾巴過不得

ロジックツリーにご用心。MECEから排反へ。

Excel Graphviz 広告

本記事の要約

コンサルティング業界でよく使われているロジックツリーはMECE(ミーシー)という語の定義が曖昧である。

なので本記事では、ミーシーを高校数学 A で習う排反で代替する。

あと最後にロジックツリーみたいな図を簡単に描画できる Graphviz というソフトウェアを紹介する。

忘れてしまった高校の数学を復習する本―高校数学ってこんなにやさしかった!?

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ロジックツリーとは

ロジックツリーとは、樹形図の一種です。

ミクロ経済学統計学をかじったことがある方には、決定木(ディシジョンツリー;decision tree)という呼び方のほうがなじみが深いかもしれません。

以下の説明を参照してください。

ロジックツリーを作るときには、同じレベルの枝では分類基準がそろっており、上位概念のすべてが網羅され、かつ重複がないこと(MECE)が必須である。信頼性工学やリスク管理では各枝に発生確率を持たせることがあるが、その場合も同レベルの枝の確率を合計すると100%になる。

情報マネジメント用語辞典:ロジックツリー(ろじっくつりー) - ITmedia エンタープライズ

物事を要素や原因、手段などに分解していくとき、それらが相互に排他的で重複がなく、かつ全体が網羅されているようにすること。

 「漏れがなく、ダブリがない状態」を意味し、論理思考を行う際の基本ルールである。

情報マネジメント用語辞典:MECE(えむいーしーいー) - ITmedia エンタープライズ

ケーススタディリスティング広告の成果を寄与率に分解する

リスティング広告運用のヒント ロジックツリー| リスティング広告の運用代行ならカルテットコミュニケーションズ を引用しながら説明させて頂きます。

この記事では、Web広告のCVs(成果の数)は、CTs(広告のクリックされた回数)とCVR(広告の成果獲得率。CVs ÷ CTs で与えられる)の積である、

CVs = CTs × CVR

(もとの記事では、「CVs = CTs × CVR × 100」と100を乗じていますが、これは%表示するかしないかの違いです。)

ということから、CVs 増加の要因は CTs の増加と CVR の増加に分けられる、としています。

CVsを増やすためには

  1. CTsを増やす必要がある
  2. CVRを増やす必要がある

f:id:abrahamcow:20141209064658p:plain

では、実際に適当な数字を入れてCVsの増加にCTsとCVRがどのくらい寄与したか計算してみましょう。

CVs CTs CVR
上期 100 1,000 10.00%
下期 120 1,100 10.91%
増加量 20 100 20.00%

上期から下期にかけてCVsが100から120に増えました。増加量は20です。

この増加量20に対して、CTs、CVRがそれぞれどのくらい寄与したかその内訳(寄与率)を見てみます。

変化量と変化率、寄与度と寄与率の違い - 廿TT

  • CTsの寄与率=CVsの増加量/CTsの増加量=20%
  • CVRの寄与率=CVsの増加量/CVRの増加量=10000%

あれ? 数字がおかしいですね。内訳をみたかったのに、足すと100%を軽く超えちゃっています。

それもそのはず、CTsは回数ですがCVRは割合です。

「割合」という回数とは次元がことなる量を用いているため、このようなやり方では内訳を見ることはできません。

CVs 増加の要因は CTs の増加と CVR の増加に分けられる」という分け方は、MECEではあるかもしれませんが、互いに排反な集合に分けているわけではないのです。

リスティング広告運用のヒント ロジックツリー| リスティング広告の運用代行ならカルテットコミュニケーションズ 記事内でも、「ロジックツリー内の項目は作業の分解であり、数値として扱っているわけではありません」と強調して注記されています。

しかし、実際に広告を運用するWeb担当者や実務マーケターの方が、CVsを増やしたいときは「数値として」CVsを増やしたいはずです。

ロジックツリーが実際の数字に結びつかないような「作業の分解」であるとすれば、それをどうやって実際の作業に生かしていけばいいのか? その解釈は非常に難解なものになってしまいます。

互いに排反な集合とは

CVs 増加の要因は CTs の増加と CVR の増加に分けられる」という分け方は、MECEではあるかもしれませんが、互いに排反な集合に分けているわけではないのです。

互いに排反な集合に分けるとはどういうことか? このような集合と論理、ついでに確率については、一緒に学んだほうが理解しやすいので、現行の高等学校ではこれを「数学 A」という科目にまとめています。

事象を互いに排反な集合に分けて樹形図(ロジックツリー)を書いてみましょう。

たとえば、
スモールワードとビッグワード それぞれの戦術の違い | リスティング広告実践メモ | リスティング広告代理店 | 株式会社アイエムシー
という記事ではリスティング広告検索連動型広告)に出稿するキーワードの集合を、ビッグワード、スモールワードという二つの部分集合に分けています。

f:id:abrahamcow:20141215000940p:plain

下表のように計算した場合、ビッグワード、スモールワードが全体のCVs増加に、どの程度寄与したかは明らかです。

CVs ビッグワード スモールワード
上期 100 20 80
下期 120 30 90
増加量 20 10 10
CVs増加量寄与率 50% 50%

f:id:abrahamcow:20141215015811p:plain

すなわち、事象を互いに排反な集合にわけるとは、部分集合A、部分集合B、部分集合Cそれぞれの割合を P(A)、P(B)、P(C) と表したとき、

P(A) + P(B) + P(C) = 100%

足し算ができるようにわけるということです。

以上の計算を行ったエクセルファイルを下記に置いておきます。
http://zisatsu.web.fc2.com//monooki/excel/Listing_Contribution_ratio.xlsx

この世で一番おもしろいミクロ経済学――誰もが「合理的な人間」になれるかもしれない16講

この世で一番おもしろいミクロ経済学――誰もが「合理的な人間」になれるかもしれない16講

このようにを事象を互いに排反な集合にわけた上で、各施策のコストを計算する事例は、『この世で一番おもしろいミクロ経済学――誰もが「合理的な人間」になれるかもしれない16講』などで見られます。

f:id:abrahamcow:20141215002517j:plain
(同書 p.18 より)

この図を参考にキーワードの集合を互いに排反な集合にわけた上で、各キーワードのコストを計算していくことをご検討ください。

そうすることで、「リスティング広告運用のヒント」が得られるよりわかりやすい「ロジックツリー」が描けると、私は考えます。

今回はリスティング広告を例に説明しましたが、広告に限らず、Webサイトへの訪問全体を、

と部分集合に分けて考えることも可能です。


RGoogleAnalytics で変化の要因を読みとく(変化率と寄与度のグラフ) - 廿TT

付記;寄与率について

P(A)+P(B) のような形でなく P(A)×P(B) みたいなかけ算の寄与率は計算できないの? と問われると、できないことはない、という答えになります。

例えば対数とって変数変換するとか、いろいろ工夫したら計算することはできます。

ただ、それはそれで解釈がまたややこしくなるため、おすすめはしません。

興味のある方は適当にググってみてください。google:かけ算 寄与率

Graphviz の紹介

「SmartArt」で簡単にロジックツリーを作成する方法 | Excelを制する者は人生を制す ~No Excel No Life~ では、エクセルを用いて、ロジックツリーを描いています。

ロジックツリーに限らずフローチャートや工程管理表、組織図、ネットワークの図(グラフ理論 - Wikipedia)などを作る際、エクセルを活用される方が多いと思います。

そのような作図に便利な Graphviz というソフトウェアがありますのでご紹介いたします。

ダウンロードはこちらから無料で行えます。Graphviz | Graphviz - Graph Visualization Software

これはエクセルのようなインターフェイスがなく、dot言語というマークアップ言語を用いているため、一見とっつきにくいように思えますが、非常にシンプルです。

さきほどのこの図、

f:id:abrahamcow:20141215000940p:plain

を書いたときのコードはこちらです。

digraph KW{
  graph [rankdir = LR];
  "キーワード全体の集合" -> "ビッグワード";
  "キーワード全体の集合" -> "スモールワード";
}

マークアップ言語を用いて作図することの利点は、修正・再利用が楽、という点です。

例えば、「我が社は八百屋さんだからビッグワードをさらに、『野菜』と『果物』に分けたいなー」と後から思いついたとき、上のコードを使いまわして、

  1. "ビッグワード" -> "野菜";
  2. "ビッグワード" -> "果物";

と、付け足すだけで作図が可能です。

f:id:abrahamcow:20141215012559p:plain

digraph KW{
  graph [rankdir = LR];
  "キーワード全体の集合" -> "ビッグワード";
  "キーワード全体の集合" -> "スモールワード";
   "ビッグワード" -> "野菜";
   "ビッグワード" -> "果物";
}

本文中では地味なグラフを載せていますが、体裁を後から整えることも可能ですので、
A -> B;
の部分だけを先にブレイン・ストーミング的に書き出しておいて、後にプレゼン資料等に活用することもできます。

色や矢印については、
Graphvizの配色と矢印の太さと色サンプル - hack my self
が参考になります。

またカラーユニバーサルデザインの観点からは、下記サイトの最下部に記載されている #rrggbb 値を参照されるとよいかと思います。
統計グラフの色

日本語での情報もネット上にたくさんあります。

また pdf ファイルとして出力して、ハイパーリンクを埋め込むことも可能ですので、ドキュメント作成ツールとして活用することもできます。
直観を超えた何かが組み上がることを目指して→考える道具としてのdot言語 / Graphviz 読書猿Classic: between / beyond readers

「体裁を後から整える」作業は下の動画のような具合でイメージしてください。

一行付け足して、丸を四角に変えています。

digraph KW{
  graph [rankdir = LR];
  node [shape = box];
  "キーワード全体の集合" -> "ビッグワード";
  "キーワード全体の集合" -> "スモールワード";
   "ビッグワード" -> "野菜";
   "ビッグワード" -> "果物";
}