廿TT

譬如水怙牛過窓櫺 頭角四蹄都過了 因甚麼尾巴過不得

金融緩和はブタ積み上等。金融緩和賛成。消費税増税反対。

前回までのあらすじ

さてぼくは 金融緩和の目的は「円安で輸出拡大を呼びこむこと」じゃありません - 廿TT で、金融緩和ってなんのためにするの? ということを説明した。


  • いま日本の人はデフレで困ってる
  • デフレで困ってるんだからインフレにすればいい
  • インフレにするために金融緩和をする

しかしここで、「金融緩和でインフレにするっていうけど、ほんとうにそんなにうまくいくの? 日銀がお金刷ったって、ただ銀行にお金がたまっていくだけで、日本全体には出回らないんじゃないの?」という疑問が生じる。

これはなかなか鋭い指摘だ。「ただ銀行にお金がたまっていくだけ」っていう状況はブタ積みとか呼ばれてバカにされる。

このことについて考えていたのが、時系列データの相関係数はあてにならない……のか? 教えて下さい - 廿TT だ。

時系列データっていうのは解釈がちょっとむずかしくて、ぼく自身にわか勉強付け焼き刃の繰り返しなんだけど、まあ通貨供給量とインフレ率の関係は単純な線形の式(比例、反比例のような形の式)で表せるようなものではないだろう。

でも

でも、そんな経済学にも時系列データの分析にも詳しくないぼくが、金融緩和に賛成してるのは明確な理由がある。

いまお金持ってる人はデフレのせいでお金を使わないのだから、「物価の番人」である中央銀行(日銀)が「インフレにします」と宣言すればいい。

そうすればみんな、「あ、インフレになるんだ。じゃあ現金持ってても損だな」と思って、お金を使うだろう。

このような考えかたが、リフレ派と呼べれる人たちの主張だ。

「あ、インフレになるんだ」というインフレ期待(予想インフレ率)の指標が、BEI(ブレーク・イーブン・インフレ率)というものだ。

インフレっていうのはお金の希少価値がなくなることなんだけど、お金の価値っていうのは金利のことだと考えてね。

だから金利を計算してみれば、人びとがどの程度のインフレ率を予想しているのかわかるのだ。

BEIの推移 | 日本相互証券株式会社 に BEI のグラフと計算式の簡素な説明がある。

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BEIの推移 | 日本相互証券株式会社 より。

この BEI 推移の折れ線グラフを見てやると、2013年の頭ごろにグーっと上昇傾向になり始め、2013年の8月を超えてしばらくしたころに急にがくっと落ちてるでしょう。

この時期ってなにがあったっけ? 第二次安倍内閣成立が、2012年12月26日、消費税増税閣議決定が2013年10月1日だ。

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ここから経済学も時系列もぜんぜん詳しくないぼくでも、BEI(予想インフレ率)の変化に対する超シンプルな仮説が立てられる。

  • 安倍内閣が「インフレにします」と宣言して金融緩和させたところまではよかった。
  • でもその後消費税増税とかやってたせいで、ぐだぐだになっちゃった。

だから金融緩和賛成。消費税増税反対。

まとめ

ぼくとおなじようなことを言ってる人の一人は経済アナリストの森永卓郎だ。

「金融緩和をどう考えるのか」森永卓郎│マガジン9

ぼく自身は森卓さんに直接影響を受けたわけじゃない。ふつうにふつうの経済学入門書をよんでたら、おなじような結論にいたったのだ。

この世で一番おもしろいマクロ経済学――みんながもっと豊かになれるかもしれない16講

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図解雑学 マクロ経済学 (図解雑学シリーズ)

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ぼくはぼくの見方をリフレ派の考えかただ、って説明したけど、リフレって思想でもなんでもなく、ふつうの経済学のふつうの見解なんじゃないかな。

また、ノーベル記念経済学賞受賞経済学者クルーグマンが、ノーベル賞をとるずっと前からクルーグマンインフレターゲット論を紹介していた山形浩生のこの記事も有益。

スーパー・アクロバチック・不景気脱出策

ここで山形は消費税連続アップで不景気を脱出しよう! と述べてるけど、これは山形によくあるわざと暴論いって読者のみんなに考えさせるタイプの文章なので、真に受けちゃいけない。

山形はその後、消費税引き上げはクソだ(くそ消費税引き上げ記念のウンコねた:ウンコ移植はいかが。 - 山形浩生 の「経済のトリセツ」)と明言している。

  • 消費税増税はただ単に消費できるお金が減る。
  • 金融緩和は出回ってるお金の量が増えることで物価が上がる。

一緒くたにしちゃいけない。

新教養主義宣言 (河出文庫)

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それにしても、スーパー・アクロバチック・不景気脱出策 は1998年の文章だぜ。当時は「日本にインフレ期待を!」なんて、まともに議論されることすらほとんどなかったのだ。

それが政策にまで取り上げられるようになったのは、長年山形浩生ファンをやってきたぼくとしては感慨深いものがある。

……ていうかおせーよ。せめてあと2〜3数年前にリフレやってくれてれば、メンタルヘルスも悪化せず今ごろちゃんとした仕事につけてたのに……。

一番怖いのは消費税増税と金融緩和が一緒くたにされて、「アベノミクスに自信があれば消費税増税できるはずだ」みたいな論調。
「アベノミクスに自信があれば」野田元首相、増税求める:朝日新聞デジタル

これ、魔女裁判で魔女を沼に放り込んで、浮かんできたら魔女だから殺す、浮かんでこなかったら魔女じゃない(でも溺れて死ぬ)みたいな議論だよね。

っていうか朝日新聞サヨクなのか? ここまで消費税増税賛成するサヨクなんている?

左翼、左派、リベラルのみなさん、「金融緩和賛成。消費税増税反対。安倍内閣は金融緩和させたところまではよかったが、その後消費税増税とかやってたせいで、ぐだぐだになっちゃった。我々が本当の景気回復を実現させます。」を公約にしませんか。どうですか日本共産党さん。

そしたら無気力、無関心人間の代表格である私もよろこんで選挙にいって一票投じますよ。