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廿TT

譬如水怙牛過窓櫺 頭角四蹄都過了 因甚麼尾巴過不得

【ご提案】イノベーター理論の普及曲線とか捨てて、レベルレート図を使いましょう

代案を出せ

ぼくは ロジャースのイノベーター理論ってこれでいいの? - 廿TT で、ロジャースの『イノベーション普及学』で提示されたモデル(下図のようなやつ)
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は、根拠不明、ロジャース自身が自分で書いてる式やグラフの意味を理解していないとしか思えない、と批判した。そしてロジスティック曲線を当てはめた。


結果、実務マーケターの方から

  • イノベーション普及理論はネット誕生はるか前のものだし、いまは全然普及の仕方は違うよね。
  • 商材によっても、業界の中でのポジショニングによっても、商品自体によっても普及の仕方はことなるよね。
  • アーリーマジョリティ34.0%、レイトマジョリティ34.0%とか、各層の構成比は全然バラバラになるのが当たり前だよね。
  • ロジャースのモデルをそのまま使うことはまずないけど、考えかたとしては分かりやすいよね。

というようなフィードバックを頂きました。

うん。つまりまったく伝わりませんでした。敗北宣言です。

ぼくの言ってることって、「そもそも計算おかしいじゃん」っていうことなんですよね。

それで反省しました。

微分方程式とかロジスティック曲線とか、ややこしい話はとりあえずおいとこう。
(といっても ロジャースのイノベーター理論ってこれでいいの? - 廿TT は一応高校数学で習う範囲の公式でギリギリ理解できるはず。そんなに難しくないよ)

現実のデータに対して、普及率の推移を S 字のカーブで、普及率と普及の上昇度の関係を釣り鐘型のカーブで示せれば、無理にロジャースのモデルを使わなくて済むわけだ。

だから、そのやり方を紹介します。

Excel でレベルレート図

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上図はカラーテレビの普及率の推移を表した図です。

データは 統計表一覧:消費動向調査 - 内閣府 の「主要耐久消費財等の普及率(一般世帯)」から持ってきました。

典型的な S 字のカーブになっています。

S 字カーブはロジスティック曲線で近似できますが、細かい数式はいったん置いておきましょう。

  • 普及に上限があり(普及率100%が天井)
  • 普及のスピードは、すでに技術革新を取り入れた層と、まだ取り入れていない層の各々の数に比例する

という非常にシンプルな仮定から、ロジスティック式というものが導かれることだけを押さえておいてください。

上の2つの仮定を満たす場合、普及率の推移は S 字のカーブを描きます。

ロジスティック式 - Wikipedia


さて、次の図は、「レベルレート図」と呼ばれるものです。

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レベル値(普及率 Y(t) )を横軸に、レート値(変化量 Y(t) - Y(t-1) )を縦軸にとっています。

普及率の上昇に連れて、上昇度が加速していき、60%を超えたあたりから、上昇度が減速に転じています。

(ロジスティックカーブの変曲点は、上限のちょうど半分のところにありますから、これは典型的な動きです。)

このようなグラフを書くことで、耐久消費財と呼ばれる製品が普及していく様子を把握できるわけです。

普及率の推移のグラフはふつうの折れ線グラフなので、その書き方は言わずもがなとおもいますので、レベルレート図の書き方を説明します。

まず、普及率の差分系列をとります。

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エクセルでいうと、普及率が B 列に入っているとして、B3 - B2, B4-B3,..., という式を C 列に入力するわけです。

この差分系列が、普及率の上昇度ですから、C 列を縦軸に、普及率(B 列)を横軸にして、散布図を書けば完成です。

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ちなみに横軸の目盛りを下に持ってくるには、軸をクリックして「種類」の「軸ラベル」を低にします。

エクセルのファイルは下記に置いておきます。

http://zisatsu.web.fc2.com/monooki/excel/ctv.xlsx

ユーザーの分類は?

ロジャースによれば、ユーザー層(『セグメント』っす)はイノベーション採用順に「イノベーター」「アーリーアドプター」「アーリーマジョリティ」「レイトマジョリティ」「ラガード」と分類されています。

イノベーター
新しいアイデアや技術を最初に採用するグループ。リスクを取り、年齢が若く、社会階級が高く、経済的に豊かで、社交的、科学的な情報源に近く、他のイノベーターとも交流する。リスク許容度が高いため、のちに普及しないアイデアを採用することもある。


アーリーアドプター
採用時期が2番手のグループ。オピニオンリーダーとも言われ、他のカテゴリと比較すると周囲に対する影響度が最も高い。年齢は比較的若く、社会階級は比較的高い。経済的に豊かで、教育水準は高く、社交性も高い。イノベーターよりも採用選択を賢明に行い、オピニオンリーダーとしての地位を維持する。


アーリーマジョリティ
このカテゴリの人は一定の時間が経ってからアイデアの採用を行う。社会階級は平均的で、アーリーアドプターとの接点も平均的に持つ。


レイトマジョリティ
このカテゴリにいる人は、平均的な人が採用した後にアイデアを採用する。イノベーションが半ば普及していても懐疑的に見ている。社会階級は平均未満で、経済的な見通しは低く、社会的な影響力は低い。


ラガード
最も後期の採用者。他のカテゴリと比較すると社会的な影響力は極めて低い。変化を嫌い、高齢で、伝統を好み、社会階級も低く、身内や友人とのみ交流する傾向にある。

普及学 - Wikipedia

が、新しいアイデアや技術を最初に採用するグループが「新しいアイデアや技術を最初に採用するグループ。」と説明されるなど、これはほぼトートロジーです。

この分類を眺めても、おそらく新たな知見は得られないでしょう。

まずは普及率の推移とレベルレート図をプロットし、どの時点で普及の速度が早まり、どの時点で減速しているか調べることをおすすめします。

参考文献

統計グラフのウラ・オモテ―初歩から学ぶ、グラフの「読み書き」 (ブルーバックス)

統計グラフのウラ・オモテ―初歩から学ぶ、グラフの「読み書き」 (ブルーバックス)