廿TT

譬如水怙牛過窓櫺 頭角四蹄都過了 因甚麼尾巴過不得

facebook と「ネトウヨ」

はじめにお断り

ぼくは思想的にはたぶんどっちかっていうと左派なんだけど、「ウヨ」=右派だからよくない、とかネット上でいきがるのはよくない、とは思ってない。

ネット上でナショナリスティックな発言をすること自体は別に問題ない。勝手にやればいい。
なので「ネトウヨ」は侮蔑語の一種として、カッコつきで使用します。いわゆる「ネトウヨ」の話。

ぼくが問題にしたいのは、差別だったりデマだったりする発言だけだ。

実名顔出し顕在化する「ネトウヨ

ぼくはいわゆる「ネトウヨ」をこんな図式で捉えていた。

  1. 差別意識はだれのなかにもある
  2. でもそれをおおっぴらに出すと嫌われる
  3. なのでネット上で匿名で吐き出す

でも、そういうわけでもないのかもしれない、と最近になって思った。

facebook でリアル知り合いに向けて、実名顔出しでいわゆる「ネトウヨ」的な言説をシェア拡散してる人が身近に増えてきたからだ。

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日本の戦没者追悼式に出ず、韓国の光復節(日本の朝鮮統治終結)に参列する「福島みずほ&白眞勲」 - Togetterまとめ
↑は元ネタの動画見れば自民党も出てることがわかる。

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【BOOK】日本国内に“中国自治区” 直面する危機に対策急務 河添恵子氏 (1/2ページ) - 政治・社会 - ZAKZAK

↑は中国人が土地買ったら世界侵略っていうこと…? よくわからない。

この2つはどっちもいいね!、シェアでぼくのフィードに流れてきた。
でも上記のようなコメントを書き込んだら投稿ごと消された。

ソーシャルボタンのところを注目すると、匿名ユーザーの多いツイッターよりも、実名ユーザーの多い facebook でこれらの記事が拡散されていることがわかる。


また、下の記事も facebook のコメント欄で生活保護バッシングが行われている様子がうかがえる。
生活保護のよくある誤解に答えてみました(みわよしこ) - 個人 - Yahoo!ニュース


ぼくは、こういう差別的なことを実名でいうのは気がとがめるもんだと思っていた。

おそらく facebook でこれらの言説をいいね!、シェアしてる多くの人たちはこれが「差別」「デマ」という自覚はないのじゃないか。

一方でそれに対して「なんか変だな?」と思っても、リアル知り合いとケンカになるリスクをおかしてまで誤りを指摘したり反論したりする人は少ない。

それが結果として差別やデマの蔓延を招いてるんじゃないか。

路上で「殺せ」とか「叩き出せ」とか叫んでるガチの人たちと対決するのは、正直ぼくには無理だ。
どうしていいかわからない。

でもそういうものの裾野として、ゆるふわグレーゾーンの「ネトウヨ」に対して反論、訂正してやることはできる。

それをやろうよ。

ググレカス」とか「ソースあんなら出せ」っていま思うといい言葉だった。

そんなに手間はかからない。たいていの場合、明らかなデマはググればソースにたどり着ける。

特に「画像で検索」機能は便利で、バイラルメディアとかが転載してる写真の元ネタはだいたいこれでわかる。
Google 画像検索

「これ間違いですよ。根拠はこちらをご覧ください。」といってリンクを貼ればいい。

それだけで投稿ごと消してくれるなら、安いもんだ。

現代の差別は多くの場合事なかれ主義の形をとる

「差別するわけじゃないけど、被差別部落出身の人と結婚すると、なんていうかなあ、苦労するよ」という言い方で親類縁者一同から結婚に反対されたらどうなるだろう。被差別部落出身者は結婚がし難くなる。

これは差別というのだ。

暴力は振るってないからいじめじゃない、スルーしてるだけ、シカトはいじめじゃない、人はこの程度には進歩した。

差別に対して寛容なのは差別ですよ。

「差別を認めない」というのも差別じゃないか、にまじめに反論してみる。

「差別を認めない」というのも差別じゃないか? どっちもどっちだ、みたいな言説はたまーに目にする。

ふつうこういうのは、「いやいや、子供じゃないんだから」と相手にされないけど、ここではまじめに反論してみる。

「差別を認めない」を差別に含めると仮定する → 「差別を認める」は差別でないことになる → しかし「差別を認める」行為は差別である → これは矛盾 → 「差別を認めない」ことを差別に含めるという仮定がまちがっていた。

ダメかな? 詭弁じゃん、と思われるかもしれない。

だとしたらどうしようもない。

在日特権」のチェックリスト

さて、ぼくはデマや差別には根気強く反論して欲しいと思ってる。
安田浩一『ネットと愛国』からよくあるデマの典型例として「在日特権」を紹介する。

ネットと愛国 在特会の「闇」を追いかけて (g2book)

ネットと愛国 在特会の「闇」を追いかけて (g2book)

この手の話はきりがないが、山本弘のブログやツイッターの「ネット上のデマまとめ」アカウントではいろんなデマに逐一反論している。

山本弘のSF秘密基地BLOG
(例えば 山本弘のSF秘密基地BLOG:韓国系デマ「日本の強姦犯のほとんどは朝鮮人」? などを参照してほしい。)

ネット上のデマまとめ (@jishin_dema) | Twitter

参考にしてほしい。

国際競争力ってなんだ?

冒頭の「中国の占領」などの記事の背景には中国の経済成長に対する危機感があるように思う。

そこで、経済成長はゼロサム・ゲームじゃないということを強調しておく。

  • 外国の成長は日本企業の競合も増やすけど、日本の市場の拡大にもつながる。
  • 日本企業と競合する製品を作ってる国の生産性が上がれば、日本の輸入業者の生産性も上がる。
  • 競合製品を作ってる国の生産性が上がれば、その国の賃金も上がる。だから価格差はすぐに埋まる。

日本が豊かになるためには、「外国と比べた日本経済」じゃなくて、単に「日本経済」が豊かになればいいだけだ。

クルーグマン教授の経済入門 (ちくま学芸文庫)

クルーグマン教授の経済入門 (ちくま学芸文庫)

マンガ「嫌韓流」と「ゴーマニズム宣言戦争論」

最後に「嫌韓流」と「ゴー宣」について。これらはいわゆる「ネトウヨ」層に多大な影響を与えたっぽい気がするので、軽く触れておく。

マンガ嫌韓流

マンガ嫌韓流

嫌韓流の主要な論点は2つ。

  1. 日韓併合はそもそも良いことをしていた
  2. 日本は韓国に対してすでに謝罪も賠償もすんでいる

これについては、山形浩生のこれが参考になるんじゃないか。

しばらく前に『嫌韓流』という本がベストセラーになって、いろいろ議論を呼んだ。韓国や北朝鮮が何かと第二次世界大戦中のあれやこれやを持ち出して、謝罪と賠償を請求してみたり、内政干渉じみたことを口走ったりすることに対して、その多くの主張は無根拠かすでに公式には解決済みのものであって、いまさらとやかく言われる筋合いはないことをマンガで述べた、非常におもしろく有益な本だ。

CUT 2006/11 Book Review

山形は上記のように基本的には嫌韓流を肯定しながらも続けてこう述べる。

が、一方で『嫌韓流』が思いたがるほど日本の支配が立派だったわけではない。いや、志はよかったのかもしれないが、やり方がとてつもなく下手だった、とイザベラ・バードは記述している。妙に細かいことにこだわってみたり、地元の感情に注意を払わずに画一的・高圧的な改革を押しつけ、といった日本のやりかたは「買わなくてもいい反感を買っていた」とのこと。やれやれ、今もあまり進歩がないねえ。朝鮮半島に必要な改革の先鞭をつけたのは日本だったが、それを進めたのはロシアだったし、絶望的に思えた財政改革を実現させたのはイギリスの援助ではあったそうな。

 そして、『嫌韓流』などでは本書に掲載された日帝支配前のソウルの写真と、支配後のソウルの写真を並べてみせる。当時のソウルはひどい状態で、一面スラムに等しく、大通りは掘っ立て小屋に不法占拠され、ゴミや排泄物が平気で投げ散らされる中を皮膚病のイヌや子供がころげまわる、「北京以外では最も不潔な都市」だったとのこと。それが日本の支配下で見違えるほど豊かになった、と『嫌韓流』は主張するんだが、本書の最後の部分を読むと、実際にソウルの都市美化の先鞭をつけたのは、西洋留学から帰ってきた朝鮮官僚だったとのこと。この時期にソウルが急激に美しく立派になったのは事実だけれど、それをすべて日本のおかげとするのは無理があるようだ。『嫌韓流』の主張はかなり理があるものだけれど、すべて鵜呑みにしちゃいけないってことですな。

CUT 2006/11 Book Review

日韓併合はそもそも良いことをしていた」という記述に関しては、山形の指摘したように我田引水が見られる。

また、同書の中だけで見ても、「日本は韓国にハングルを普及させたからえらい」「韓国人はハングルによって過去の文化を失った」と正反対の主張を同じ第6話(pp.157-178)で行うなど、矛盾がある。

あと日韓併合がけっきょく日本から多額の資金持ち出しで終わったっていう話、「植民地経営ってかんたんそうに見えて赤字で儲からないし、地元住民の反感は買うしよくないよね。ふつうに経済協力したほうがいいね」って結論になりません?

戦争の経済学

戦争の経済学

もう一個の「日本は韓国に対してすでに謝罪も賠償もすんでいる」に関しては、わざわざ『嫌韓流』読まなくてもウィキペディアでいいんじゃないかという気がする。

日本国と大韓民国との間の基本関係に関する条約 - Wikipedia


新・ゴーマニズム宣言SPECIAL 戦争論

新・ゴーマニズム宣言SPECIAL 戦争論

そろそろ疲れてきたのでゴー宣に関しては、「戦史研究所」へのリンクと『トンデモ本の世界R』のアフィリエイトだけ張っておく。
間違った歴史の本 歴史修正

トンデモ本の世界R

トンデモ本の世界R

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