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廿TT

譬如水怙牛過窓櫺 頭角四蹄都過了 因甚麼尾巴過不得

ブログを収益化することの社会・経済的意義

 ぼくは山形浩生を最大級にリスペクトしてる。
 15才くらいのときにたまたまレッシグのコードを読んで山形浩生に出会った。

CODE―インターネットの合法・違法・プライバシー

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 その訳者あとがきがとにかくおもしろくて、おもしろいっつーか、なんだこいつは? なんだ? なんかすげー変なやつがいるな、なんなんだこいつは? 何者? と思い、それから山形のホームページ(YAMAGATA Hiroo: The Official J-Page)に上がってる文章を読みあさり、完全に山形信者になった。

 かれの書く文章は「え? こんな見方もできるのか!」、「え? 世の中にはこんなすげー本があるのか」というおどろきを与えてくれた。

 そして一気に世界が広がった感じがした。

 その山形さんがこんなことを書いていた。

ちなみにこのusi4444なる人のブックマーク(魚拓)、ほとんどだれも見ないであろうブックマークでぶつぶつ「一応言っておくが」とか、だれに言っておくつもりだろう? ぼくはこういう人を知っている。会議とかでまともに発言しないくせに、聞こえよがしに独り言めいたことを言って悦に入っている人。自分のブログ(ばれてないと思ってる)で「あんな決定は変だ」とか書いて溜飲を下げている人。そういう人に限って、なぜ発言しないのかきくと「発言できない空気があった」とか言い出すんだ。でも、それだから世の中よくならないんだよ。言ってる内容自体は必ずしも悪くないだけに惜しいな。

ソローによるナサーの経済学史の酷評&経済思想解説 - 山形浩生 の「経済のトリセツ」

 彼の言ってることは非常によく分かる。正しいと思う。でも、山形浩生は一種の天才だ。

 彼は野村総合研究所で激務を(いや、知らないけど、でも野村総合研究所なんてたぶん激務だろう)こなし、副業としてすごいはやさで翻訳もバンバン仕上げ(月一くらいのペースで訳書が出てる→Books that I wrote/translated)、一方で書評もコラムもめちゃくちゃ幅広い分野でバリバリ書きまくってる。

 おれにはそんな能力はない。体力もない。気力もない。

 ぼくは2013年4月に新卒で某ネット広告代理店に就職し(ネット広告専業の代理店なんてどこもベンチャーだけど、業界内では比較的大手のほうだった)、

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(出典:広告業界の現状、動向、ランキング等-業界動向サーチ

Web 解析コンサルタントとかアナリストとかいうご大層な肩書を頂戴していた。

 で、実際問題仕事がきつかった。電話応対とかメール返信とか業務連絡流したりとか、エクセルのシートを埋めたりパワーポイントで資料作ったりとか、会計ソフトに原価を入力したり契約書類にハンコをもらったりとか、会議に出席したり Web 解析ツールのベンダーさんとやりとりしたりとか、忘年会の準備をしたり研修を受けたりとかで一日が終わり、残業代も出ず終電で帰れればまだまし、みたいな感じだった。

 散布図ひとつ描いてもなかなか伝わんねーし(仮説:できるビジネスマンにとって、散布図は2×2の表なのだ。 - 廿TT)、諸先輩方はめっちゃディスりたくなるグラフばっか描いてる(よくないグラフ:折れ線グラフの使い方 - 廿TT)んだけど、例えば「A/BテストでPDCAサイクルを回すにおいて、仮説検定でデータに基づいて定量的な分析をしよう!」って言ってる先輩にえ? その仮説検定めっちゃまちがってないっすか? なんて言おうもんなら(A/Bテストのガイドライン:仮説検定はいらない(Request for Comments|ご意見求む) - 廿TT)、「君の言ってることはわかるけど、実際ビジネスの現場では……」とか言われて話通じないし、あげく「もっと言い方気をつけような」、「ちゃんと言いたいこと整理してこうな」、「コミュニケーション能力が君の今後の課題だね」なんて優しく諭され、ご指導いただけるのはまあありがたいんですが、それによって睡眠時間がさらに削られる。

 結果、前々からの持病(はじめての人のための精神科受診ガイド - 廿TT)が悪化し、2014年2月末で退職することにした。

 退職後は2014年4月からまた学生にもどることにしたんだけど、ぼくは英語も数学もぜんぜんダメダメで学位が取れるかどうか、学位がとれたとしてもその後の職があるのかどうか(朝日新聞デジタル:日本学術振興会特別研究員・渡辺皓子さん - 京都 - 地域)、いい年こいて先行きは未確定。

 ぼくのこのビジネスの現場ではダメだったから、象牙の塔に戻るっていう選択は、極端な白黒思考、過度の一般化、という認知の歪み(歪んだ思考リスト)の発露であり、あんまりよくなかったんじゃないかなって自分でも思ってる。

 もっとうまいやり方があったんじゃないかな、と考えていて、ふと思い当たった。
冒頭の引用で山形が批判していた、
『自分のブログ(ばれてないと思ってる)で「あんな決定は変だ」とか書いて溜飲を下げている人』
これだ! これになればよかったんだ!

 山形浩生は一種の天才だ。でもぼくは(そしてこの世の大多数の人は)天才じゃないんだ。

 天才には天才なりの、凡人には凡人なりの、人それぞれの戦い方があるだろう。

 どうせ世の中問題なんて山積み、焦ったってすぐには解決しないんだから、ビジネスの現場では適当に手抜いて、自分の意見はブログに書けばよかったんだ。

 そしてそれを問題化しよう。こんな風にだ → 公立中学校 部活動の顧問制度は絶対に違法だ!! : 中学校教員、辞めます。

 そうすれば、いろんな問題がちょっとずつよくなっていく可能性もあったんじゃないか。

 ついでにブログで会社内のナレッジもガンガン流出させよう。コモンズだ、コモンズ。

コモンズ

コモンズ

 有益な情報が一般に公開されることで、それがまた新たな価値を生み出す源泉となる。

 これで OK! 社会問題がきちんと問題化され、経済もまわり、自分の溜飲も下がる。win-win じゃないか。

 ……でも、まてよ、冒頭の id:usi4444 さんは、はてブコメントで自分の意見を書いていた。そして「ほとんどだれも見ないであろうブックマークでぶつぶつ」言ってもしょうがないじゃないかと指摘されていたんだ。ブログに自分の意見を書いて、それが多くの人の目にとまるように文体なども読みやすく工夫する……それはそれでけっこうめんどくさい。多くの人にとっては、そんなことをするインセンティブがないんじゃないか。

 一番強力なインセンティブってなんだろう? そうだ、金だ!

意外に「ブログ」は副業の手段となるのではないかと思った「第15回 東京ブロガーミートアップ」

 最近はよくネット上で承認欲求、承認欲求という言葉を目にするが、承認欲求なんて大してインセンティブにならない。

 ぼくたちに今いちばん必要なものは、承認や名誉じゃない。金だ。まず何よりも金だ。

 だからブログにアフィリエイト広告を貼りまくろう。

ニートの歩き方 ――お金がなくても楽しく暮らすためのインターネット活用法

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↑読みました(まあまあおもしろかった)

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 クリック課金型の広告も貼ろう → はてなブログにGoogle AdSense広告を貼ってみた - 廿TT

 これで万事快調じゃないか。

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by Amazon CEO ジェフ・べゾス

起業したい人に捧げたい〜Amazon創業者ジェフ・べゾスの言葉五選 | More Access! More Fun!

 いいんだよぼくらは凡人なんだから凡庸で。人それぞれだろ。

↑読んでません(読む気もない)

 みんな、ブログに広告貼っていこう。よろしく。

ウェイン 『プレジデント』って笑うよ。「桶狭間に学ぶ経営術」とかいって。んなもん役に立つか(笑)。
ガース 本当にできるビジネスマンは英語で『Wall Street Journal』とか読んでるって。
ウェイン 『プレジデント』とか島耕作とかトム・クランシーの読者って、「オレはビジネスという戦場を生きるサムライ」とか思ってるんだろうな。バカか。死ね。


――町山智浩柳下毅一郎(2004)『ファビュラス・バーカー・ボーイズの映画欠席裁判2』洋泉社