読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

廿TT

譬如水怙牛過窓櫺 頭角四蹄都過了 因甚麼尾巴過不得

はじめての人のための精神科受診ガイド

メンタルヘルス

初診お断りの壁

はじめて精神科を受診する場合、最初にぶつかる壁はおそらくここだろう。

ぼくの場合、適当に検索して出てきた精神科に電話をかけたところ、「うちは初診の方、受付してないんですよー」と言われた。
その後、

「初診やってないって、じゃあどうすれば受診できるんですか?」
「どこか別の病院から紹介していただけば」
「どこかっていうのはどこでもいんですか?」
「はい。どちらでも。紹介状を書いていただければ」
「わかりました」

というようなやりとりがあり、近所の内科にいった。
そして「寝れないし食欲もないしだるいし、常にイライラしてるか泣いてるかのどっちかでとにかくつらい」と伝えたところ、「それうちにこられても困る」と言われた。
その後、

「なにか適当な病院に紹介状かなにか書いてもらえればいいんですけど」
「いや、それ、悪いけど、眼科に行って歯医者さん紹介してくださいっていうのと一緒なのよ」
「わかりました」

というようなやりとりがあり、ぼくとしては「それうちにこられても困る」と言われても困るので、途方に暮れて待合室で泣いていたところ、見かねたナースさん(白衣の天使)が、電話帳をしらべて「ここ初診受付してるんでここ行ってください」とメモを渡してくれた。

初診受け付けなしの壁でいちいち落胆しているとたいへんなので、最初から「初診 メンタル (地名)」とかで検索して、初診受け付けありのところを探そう。

他人に助けを求める方法

他人に助けを求めるというのは、見方を変えれば他人に指示を出すのと同じことだ。

他人を動かすっていうのは難しい。
だからなんとかマネジメントなんちゃらとかいうビジネス本が大量に出版されてしかも売れてるわけだ。


あなたがメンヘラの場合:
たいていの人はあなたが助けを求めても「がんばらなくてもいんだよ」とか、「酒でも飲みに行くか」とか言うだけで大して有益なことはなにもしてくれないだろう。
まあしゃあねえ。ドンマイ。
他人を動かすっていうのは大会社の社長でもむずかしいんだ。
次いこ、次。
親、兄弟、恋人、友人、知人、タクシーの運転手、保健室の先生、カウンセラー、使えるものはかたっぱしから使おう。

「俺はもう何度も死んでいるのだから 今さら生き延びようなんて思いません これ以上赤木さんや天さんに迷惑はかけられない いちかばちか刺し違える……」
「フフ… まあそう言うな」
「え…?」
「お前はかっこ悪くてもいいから 生き延びろ」


「わかるかい…… ひろ…? 生殺しだろうとなんだろうと 結果お前がここまで生き延びた価値」


「『進む』ことが強いときもある しかし 今この状況で強さとは 踏み止まることだ」


―― 福本伸行『天―天和通りの快男児 (8) (近代麻雀コミックス)』(竹書房)より

天―天和通りの快男児 (8) (近代麻雀コミックス)

天―天和通りの快男児 (8) (近代麻雀コミックス)



あなたがメンヘラから助けを求められた場合:

こういうのは、自分がメンヘラを助けられないという罪悪感を相手に転化してるのかな、と思う。
罪悪感という加害の経験は、被害の経験をさかのぼって作りだす。
他人を助けるっていうのはボランティアなので、やりたければやればいいし、やりたくなければやらなくていい。他人を助けられないことに罪悪感を持つ必要なんて一切ない。

単純な順列組み合わせで考えよう。

  • あなたは助かり、メンヘラも助かる
  • あなたは助かり、メンヘラは助からない
  • あなたは助からず、メンヘラは助かる
  • あなたは助からず、メンヘラも助からない

すべての場合があり得るし、この世は起こり得る可能性があることならなんでも起こり得る可能性がある。
助けるか、助けないか、好きなようにやっていいし、自分で決めるしかない。

……とはいえ、多くの人にとって「他人を助けない」という選択肢を取るのは気がとがめるだろう。

そういうときのために「祈り」がある。「祈り」は「なにもはしない」という消極的な選択を「祈る」という能動的な選択に変えることができる。

他人を助けない/助けられないときは、その人が助かるように祈ればいい。

愛は祈りだ。僕は祈る。


―― 舞城王太郎好き好き大好き超愛してる。 (講談社ノベルス)』(講談社)より

好き好き大好き超愛してる。 (講談社ノベルス)

好き好き大好き超愛してる。 (講談社ノベルス)



薬物療法への嫌悪感

いまの精神科は基本的に薬物療法が中心である。

繰り返すが、他人に助けを求めるというのは、見方を変えれば他人に指示を出すのと同じことだ。
指示を出すときのコツは指示を具体的に出すことだ。

「寝れない」といえば眠れるようになる薬がもらえるし、「食べれない」といえば食欲を増す薬がもらえる。
自分の状態を包み隠さずストレートに伝えるのは抵抗感や羞恥心が伴うだろう。
そういうときは「メモに書いて紙で渡す」「親、兄弟、恋人、友人、知人についてってもらってかわりに言ってもらう」などしよう。
使えるものはかたっぱしから使おう。


「お前はかっこ悪くてもいいから 生き延びろ」


また、薬物療法に嫌悪感があることは知ってる。

例えばこんな記事 → うつ病の怪 「悩める健康人」が薬漬けになった理由 『生活習慣病としてのうつ病』 井原裕氏インタビュー WEDGE Infinity(ウェッジ)

こういうのは、いったん無視していい。

この人が論拠として引用しているカーシュら(2008)というのは、おそらくこれだとおもうけど、
Isn’t the efficacy of antidepressants clinically relevant? A critical comment on the results of the metaanalysis by Kirsch et al. 2008 - Springer
「このメタアナリシスの結果はナイーブにエビデンスに基づく薬物療法についての『真実』などと解釈してはならない」と明記されている。

また「最重症例を除けば、プラセボとの比較優位性はないと結論」したというフォーニアら(2010) というのは、おそらくこれだとおもうけど、
Antidepressant drug effects and depression severity: a ... [JAMA. 2010] - PubMed - NCBI"
元の論文では「抗うつ薬のベネフィットは抑うつの重症度に応じて増加する」と書かれている。

嘘とまでは言えないが、我田引水だと思う。
※ぼくはメタアナリシスも医学薬学も英語もまったく得意じゃないしアブストラクトしか読んでないので、論文の意図を取り違えているかもしれない。大学生各位はレポートへの孫引きはしないように。

その他参考



本エントリでは薬物療法への嫌悪感を払拭することを重視していますが、薬物療法と心理療法と併用することでうつの再発率はぐっとさがるらしいです。

「うつ」からの社会復帰ガイド (岩波アクティブ新書)

「うつ」からの社会復帰ガイド (岩波アクティブ新書)

abrahamcow.hatenablog.com