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譬如水怙牛過窓櫺 頭角四蹄都過了 因甚麼尾巴過不得

認知療法を始めるための認知療法

はじめに

認知(行動)療法の本を読んでると「え〜こんなめんどくさいことやりたくな〜い」って気分になるので認知療法を始めるための認知療法が必要だと思った。

この文は抑うつ感、「ゆううつな感じ」についての認知療法を想定して書いていく。

統合失調症などについても認知療法は効果があるらしい。これは僕にとっては意外な事実だった。が、ここでは扱わない。

心理療法を受け入れたら、自分が精神的に弱い、ということを認めることになってしまう。自分の症状は医学的な、というかしかたのない、いわばたまたまそうなってしまったものだと思いたい

  1. 「たまたまそうなってしまうものだ」という見方はまちがってない。たとえば、軽症うつ病 (講談社現代新書) では繰り返しその点が強調されている。もっとも、うつ自体がなんで起こるのかはっきり解明されたわけではないみたいだけれども。いずれにしても心と体はつながってるわけだから、心理療法で治ることと「医学的な」病気であることは矛盾しない。
  2. あなたは友達が心理療法を受け入れたら、「それはつまりお前が精神的に弱いってことじゃないか」などと言うだろうか。言うはずがない。ならば自分に対してもそんなことを言おうとする必要はない(参考:〈増補改訂 第2版〉いやな気分よ、さようなら―自分で学ぶ「抑うつ」克服法)。

うーんでも世間一般にそういう、精神病は心の弱さみたいな見方があることは否定できないんじゃないかと

気にするな。そういう人はなにやったって文句つけたり説教たれたりしてくるからなるべく敬遠しよう。それに世界は広いから中にはやさしくて頭のいい人もいっぱいいるから。

でも、でも、認知療法では考え方のくせみたいなものを見つけてそれを修正していくわけですよね。自分の考え方がまったく歪んでないとは言わないけど、そこまでまちがったものだとはとても思えないのですが

はい。その通り。これについては以下の記述が参考になる。

 ただここで注意すべきことは、「ウツ的思考パターン」というのは決して妄想的ではなく、ある点でのリアリティを有しており、社会的規範からみて正論と言える場合が多いことである。このことはうつ病者がもともと社会適応が良好なことと大いに関係している。したがって、ここにあげた「思考パターン」の修正を図る場合でも、これらを全面的に否定したり、無理矢理楽観的な考えを採用するというのではなく、緩和した形で再獲得する方向がよいわけだ。たとえば、失敗を犯して自己を強く否定している場合にも「何も失敗などしてはいないんだ」と自分に言い聞かせるのではなく、「失敗した事実は事実として、それがどのような結果を生んだか、今後どのような影響があるか」を虚心坦懐にふりかえるのが原則である。(うつ病をなおす (講談社現代新書) より)

罪悪感や恥の感情が欠如した人間にはなりたくありません

あなたは罪深いことや恥知らずなことをしたくないと思っている。罪悪感がなくても、恥の感情がなくても、「したくないと思っている」その事実だけあれば十分倫理的に振舞えます。それに認知療法が最高にうまくはまったとしても、罪悪感や恥の感情が完全に消え失せるほどの効果はありませんので。

認知療法とか行動療法とか論理療法とか、いろいろあるみたいですけどどれがいいんでしょう

ま、基本どれも一緒です。本を読みたいならとりあえずブックオフにあるやつとか図書館にあるやつのなかから選んじゃっていいと思う。

広義の認知行動療法全体の元になった第一世代が「行動療法」、第二世代が「認知療法」(論理療法もこの中に入るのかな?)、そして「第三世代認知療法」といわれるもののなかに、アクセプタンス&コミットメントセラピー(ACT)とか、弁証法行動療法(DBT)とかいろいろある感じです。

第一世代の行動療法が「行動」にフォーカスしたのは、心理学や精神医学の人たちがフロイト的な精神分析とか哲学の観念論みたいなものからきっちり距離をとろうとしていた、という事情も関係あるような気がする。

abrahamcow.hatenablog.com

ほら、うちはオペラント条件づけとかレスポンデント条件づけとか、動物実験でちゃんと確かめられている科学的な理論に基づいてるんです。そこらの人文思想的な高邁な思索とは別物なんですよ」という具合に。それがだんだん拡張されて「認知」というちょっとあいまいなものも扱えるようになったという感じじゃないだろうか。

そして認知療法で行う「考え方のくせみたいなものを見つけてそれを修正していく」という作業はけっこう難しい。その作業をマイルドに、やりやすくしようとしてるのが「アクセプタンス&コミットメントセラピー」、境界性パーソナリティ障害の治療に特化したのが「弁証法行動療法」っていう印象。

「マインド」とか、「認知の歪み」とか、「スキーマ」とか、「イラショナル・ビリーフ」とか、「自動思考」とか、用語はいろいろだけど基本的にはどれも一緒だと思う。

個人的には論理療法本(論理療法の理論と実際 など)はやや説教くさく感じるし、ACT本(よくわかるACT(アクセプタンス&コミットメント・セラピー) 明日からつかえるACT入門 など)はほんのちょっとニューエイジくさい気がするので、DBT本(自傷行為とつらい感情に悩む人のために―ボーダーラインパーソナリティ障害(BPD)のためのセルフヘルプ・マニュアル)や認知療法本(うつと不安の認知療法練習帳)が好きだけど、そこは好みの問題。

なにから始めていいかわかりません

これなんかどうでしょう。
みけにゃんProject~認知療法で憂うつな気持ちとバイバイするにゃ~

読書猿くるぶしさんの一連のページも参考になる。
つかれたアタマの道具箱

めんどくさいです

最初から全部やろうとするとかならず挫折する。とりあえず「時間をはかる」というのがおすすめ。つらい気分のピークがずーっといつまでも続くということはなくて、おそらく何分か何時間かの波があると思う。ピークがどれくらい続いたか記録してみて欲しい。「とてもつらい(3点)」、「つらい(2点)」、「少しつらい(1点)」、などで点数をつけてもいい。つらい感情に波があり、同じつらさがいつまでも持続するわけではない、ということを繰り返し体に学習させるだけでだいぶ楽になるらしい。

あとは歪んだ思考リストに目を通しておくとボディーブローのように効いてくる。

記録になれてきて、ついでにそのときなにを考えていたか、なにをしていたか、なにを思い出したかなんかも書いておければ、それでもう完璧な認知療法

ほんとに効くの?

けっこう効くみたいですよ

なんでおればっかこんな努力しなきゃいけないんだ。だれか助けてくれ

あなたの努力はいつか必ず報われ、人間関係も次第に改善されていきます。大丈夫です。

あ、まだ通院されていないのならまずは病院に行ってお医者さんにご相談ください。お医者さんに行くときは自分の状態を素直に言いましょう。寝れないとかだるいとかとにかくつらいとか。

abrahamcow.hatenablog.com

参考・引用文献一覧

軽症うつ病 (講談社現代新書)

軽症うつ病 (講談社現代新書)

〈増補改訂 第2版〉いやな気分よ、さようなら―自分で学ぶ「抑うつ」克服法

〈増補改訂 第2版〉いやな気分よ、さようなら―自分で学ぶ「抑うつ」克服法

うつ病をなおす (講談社現代新書)

うつ病をなおす (講談社現代新書)

論理療法の理論と実際

論理療法の理論と実際

よくわかるACT(アクセプタンス&コミットメント・セラピー) 明日からつかえるACT入門

よくわかるACT(アクセプタンス&コミットメント・セラピー) 明日からつかえるACT入門

自傷行為とつらい感情に悩む人のために―ボーダーラインパーソナリティ障害(BPD)のためのセルフヘルプ・マニュアル

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うつと不安の認知療法練習帳

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